明日は明日の風が吹く 長谷部雅美長谷部雅美

Masami Hasebe

長谷部 雅美准教授

プロフィール

聖学院大学心理福祉学部心理福祉学科准教授。埼玉大学大学院教育学研究科修士課程修了。
修士(教育学)。日本社会事業大学大学院社会福祉学研究科博士後期課程修了。博士(社会福祉学)。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所にて、研究活動(特に、自治体と共同で実施する大規模郵送調査に関わる業務を担当)を経て現職。社会的な取り組みとして、今後、さいたま市の地域包括支援センターで実施している生活支援体制整備事業(社会資源の開発や地域のネットワークづくり)の評価を行っていく予定。
リフレッシュと体力づくりを兼ね、小学生から始めたソフトボールを現在まで継続中。

  • 専門分野

    高齢者福祉(キーワード:一人暮らし、社会参加、地域包括ケア)

  • 研究テーマ

    • ① 一人暮らしの高齢者が安全・安心に暮らせる仕組みづくり
    • ② 地域包括支援センターを中核とした地域高齢者(元気な高齢者から障害・疾病がある高齢者まで)への生活支援の体制づくり
    • ③ 全世代の方々の社会参加(趣味活動・ボランティア活動など)を促す地域づくり
  • 講演可能なテーマ・ジャンル

    • 地域包括ケアシステム
    • 認知症予防
    • 対人支援に必要なコミュニケーション技術(ソーシャルワークの一部として)
    • 高齢者の社会参加(人とのつながり)と健康づくり

取り組んでいる研究について
詳しく教えてください。

社会的な制度や個人が有する能力・資源を活かし、高齢者をはじめ誰もが自分らしく生き生きと暮らせる地域の仕組み・体制を探求しています。そのような地域をつくっていくうえで大切なのは、生活圏の中にいろいろな形で人と関われたり、活動に参加できたりする場所がたくさん用意されていること。どんな生活環境や身体の状況であっても、そういった選択肢を活用しながら、やりたいことを自分の意志で実現できれば、生きがいのある暮らしにつながります。そこで、実際に行われている取り組み(自治体主催の認知症カフェなど)を調査し、得られたデータに基づいて、地域に「あると良い場所」をどんどん提案していきたいと考えています。さらに、取り組みの成果を発信することで、その重要性を広く知ってもらうだけでなく、主催者側のモチベーション向上や今後の展開にも役立てたいですね。

高齢者福祉のかたちにも時代の変化の影響はあるのでしょうか?

離れて暮らす家族が、一人暮らしをする高齢者の生活を把握するためにICT機器を用いることが増えてきています。さらに、自治体や通信業界の大手企業がセンサーを利用した高齢者の生活見守りサービスを開始するなど、社会全体で高齢者の生活支援にICTを活用する動きが盛んになってきていると感じます。技術の進歩に合わせて…というよりは、福祉の現場の担い手不足や核家族化の影響で、人の代わりにさまざまな機器に頼りながら高齢者支援を行わざるを得なくなっているという現状が、こうした動きの大きな要因だと思います。

他にも、SNSを用いた「人と会わない」社会参加のかたちが生まれているのも、ネットワークが発達した今の時代ならではだと思います。これまでは社会参加というと「人と人が直接出会う」ことを中心に考えられていましたが、高齢者自身がSNSを使って自分から情報発信したり、他の人とメッセージを通して交流したりすることで、外へ出かけていかなくても自分の役割や生きがいを見つけられた、という話も耳にします。人と直接交流することが一番だとは思いますが、誰ともつながらない孤立した生活を防ぐために、SNSを活用することも意義があると考えています。

著 書

  • コーディネーター必携シニアボランティアハンドブック:
    シニアの力を引き出し活かす知識と技術(共著)

    藤原佳典・倉岡正高(編著) 大修館書店 (2016年)
    担当箇所:第4章第4節「シニアボランティアを活かすコーディネート:介護予防編」

    介護予防活動において、「シニアボランティア」の力を引き出し活かす知識と技術を紹介している。ボランティア養成からボランティア活動の継続支援まで、幅広いコーディネートスキルを学ぶことができる。

  • 公衆衛生実践キーワード:地域保健活動の今がわかる明日がみえる(共著)

    鳩野洋子・島田美喜(編) 医学書院 (2014年)
    担当箇所:「認知症ケア」

    公衆衛生実践者に向けて「認知症ケア」の概要を記述した。認知症の方へのケア(個別性を受容・尊重する直接的なケア)、家族へのサポート(情報提供や傾聴など)、地域づくりのポイント(地域特性の理解や社会資源の活用)などの理解ができる。

論 文

  • 一人暮らし高齢者における見守りセンサーを用いた在宅生活支援に
    関する検討:高齢者への健康調査と地域ケア機関への利用実態調査より

    老年社会科学38(1)66-77(2016年)

    一人暮らし高齢者の在宅生活を見守る赤外線センサーの効果を検証した介入研究。見守られる高齢者では要介護度の重度化が抑制され、見守る専門職(ケアマネジャー等)では高齢者の生活状況の把握が促進されている。

関連するSDGsのゴール

★学校法人聖学院はグローバル・コンパクトに署名・加入し、SDGsを目指した活動を行っています。